簿記の目的
- 日々の取引を記録して忘れないようにする
- どれだけ利益や資産があるのかを計算する
- 財務諸表を作成して、会社の状況を報告する
簿記は、企業や組織の財務状況や経済活動を「記録・整理・管理」するための仕組みや手法です。
収益や費用を明確に記録することで、一定期間の利益や損失を把握し、経営者が適切な意思決定を行うための重要なデータです。
また、株主、取引先、金融機関、税務署などの利害関係に対し、企業の経済状況を説明するための信頼性のある記録を求められます。
財務諸表はこの目的のために使用されます。
簿記の仕組み
簿記には単式簿記と複式簿記があります
単式簿記とは取引1つの側面だけで記録する簡易的な記録法です
単式簿記
日付 | 摘要 | 収入 | 支出 | 残高 |
---|---|---|---|---|
1/1 | 繰越残高 | 100,000 | ||
1/10 | 売上 | 50,000 | 150,000 | |
1/20 | 経費 | 30,000 | 120,000 |
収入、支出に限定される記録の仕方で現金出納帳や小規模な取引で使用されます。
複式簿記は取引を2つの側面(原因と結果)で記録する方法です。
複式簿記
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|---|
1/10 | 預金 | 100,000 | 売上 | 100,000 | A店舗 |
1/20 | 仕入 | 50,000 | 預金 | 50,000 | (仕入先名) |
取引を「借方」「貸方」に分けて記録します。
借方と貸方。貸借の合計は必ず一致するため、正確性が高く、「現金、資産、負債、収益、費用など」すべての財務項目が記録の対象となります。
資産や負債など財務状況の全体像は把握できるので、ビジネスでは基本、複式簿記が一般的です。
借方とは取引によって「増加」するもの、費用になるものを記録します。
貸方とは取引によって「減少」するもの、収益になるものを記録します。
例えば「商品を現金で購入しました」
これは商品が増えて、現金が減りました。よって借方に商品、貸方に現金。
「売上によって現金を受け取りました」
これは現金が増えて、売上という収益がありました。よって借方に現金、貸方に売上、となります
なんで貸方に売上を計上するの?売上も増えているよね
もしかしたら、こんな疑問をもつ方もいるかもしれません。次の章で説明します。
資産・負債・純資産(資本)と収益・費用
実は取引には大きく分けて「資産・負債・純資産」と「収益・費用」の2種のカテゴリが存在します。
なぜ2種あるのか、それは貸借対照表と損益計算書を作成するためです。
そして、前章では簡単に借方貸方の関係を簡単に説明しましたが、もう少し詳しく説明します。
資産・負債・純資産
資産・負債・純資産は貸借対象表によって企業の財政状態を示します。
つまり、企業がどれだけの資産・純資産を保有していて、どれだけの負債を抱えているのかを把握できます。
資産とは
現金、売掛金、在庫、設備など企業が所有する価値あるもの
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
資産×資産 | 現金 | 預金 | 現金が増えて預金が減った |
資産×負債 | 預金 | 借入金 | 預金が増えて、借入金が増えた |
資産×純資産 | 現金 | 資本金 | 現金が増えて、資本金が増えた |
資産×収益 | 売掛金 | 売上高 | 売掛金が増えて、売上高が増えた |
負債とは
借入金、買掛金、未払い費用など企業が支払うべき義務のあるもの
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
負債×資産 | 借入金 | 預金 | 借入金が減って、預金が減った |
純資産とは
資本金や利益余剰金、株主資本など企業の所有者に帰属する部分
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
純資産×資産 | 自己株式 | 現金 | 自己株式が増えて現金が減った |
収益と費用
収益と費用は、損益計算書によって企業の経営成績を示します。
つまり、企業がどれだけ利益を上げたか、またはどれだけの費用をかけたかを把握できます。
収益とは
売上高、利息収入、配当金収入など企業が商品やサービスを提供して得たお金
収益は貸方で計上します。
費用とは
売上原価、販管費、支払利息など利益を生み出すためにかかったコスト
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
費用と資産 | 家賃 | 預金 | 家賃が増えて、預金が減った |
費用×負債 | 水道光熱費 | 未払い費用 | 水道光熱費が増えて、未払い費用が増えた |
借方と貸方の仕訳のルール
貸借対照表と損益計算書は簡単に表にするとこうなります。
貸借対照表 | 損益計算書 | ||
---|---|---|---|
資産 | 負債 | 費用 | 収益 |
純資産 | 当期純利益 |
資産、費用が増加する場合は借方に、相対する負債や収益は貸方にきます。
反対に、資産が減少する場合、費用がなんらかの理由で減る場合は貸方に記載し、相殺することになります。
このように貸借対照表と損益計算書の構造を考えてみると仕訳もイメージしやすいです。
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