食用油の発煙点について知っておくべきこと

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食用油を選択するときに重要な要素として「発煙点」があります。

油の種類によって発煙点は異なります。

発煙点を知っておくと、どの油がレシピに向いているか判断することができます。

安全性、健康にも関係しているので、本記事で理解しておきましょう。

発煙点とは

発煙点とは、油脂を加熱したときに、煙が出る温度です。
発煙点を超えると、油脂が気化し、空気中の酸素と反応し、酸化が進みます。

油は、主に脂肪酸とグリセロールから構成される脂質です。
グリセロールは油中の脂肪酸と結合し、トリアシルグリセロールを形成します。

油脂がトリアシルグリセロール以外の成分を含んでいると、その成分が低温でも分解される為、発煙点は下がります。つまり未精製の油脂は精製された油脂に比べ、発煙点が低い傾向があります。

また、何度か調理に使った油も酸化している為、発煙点は低くなります。

発煙点が重要な理由

発煙点を超えるとフリーラジカルや有害な物質が生成され、油の酸化を早めます。

有害な物質には一部発がん性物質が確認されており、フリーラジカルは酸化ストレスのリスクを高めます。

そして、酸化した油は毒なので、適切な温度を把握し、食の安全性を高めることが重要です。

また、発煙点を超えた油は非常に高温で、周囲に飛び散るので引火の危険性があります。

健康への影響

発煙点を超える調理の健康リスクをまとめておきます。

【アクロレイン:別名アクリルアルデヒド】
揚げ物をしている時におこる”油酔い”の原因でもある揮発性有機化合物です。高温で長時間加熱されると、油に含まれるリノレン酸は酸化され、アクロレインを発生させます。
排気ガスやたばこの燃焼からも発生し、目や皮膚、呼吸器への炎症やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。

【多環芳香族炭化水素:PAHs】
PAHsは炭化や焦げつきを含む食品から生成されることがあり、急性毒性が強く、強い発がん性です。
食品に多く含まれるPAHsとしてはベンゾ[a]ピレンなど30種類程度の化合物が明らかになっています。

【ヒドロキシノネナール】
リノール酸を含む油脂を高温で長時間、加熱すると、ヒドロキシノネナールが発生します。
ヒドロキシノネナールは酸化ストレスや細胞の酸化ダメージに関与し、がんや心筋梗塞などの病気の原因になります。

【アクリルアミド】
食品中のアミノ酸、糖類が120℃以上の加熱により、アクリルアミドが発生します。フライドポテト、焼き菓子、コーヒーなど高温で焙煎した食品にも含まれています。ヒトに対する発がん性の証拠は不十分だが、動物実験では十分に証拠が確認されているため、食品安全委員会ではアクリルアミドの低減に努める必要があると結論付けています。

食用油の発煙点

種類発煙点飽和脂肪酸一価不飽和脂肪酸多価不飽和脂肪酸
キャノーラ油204℃7.36563.27628.142
未精製ココナッツ油177℃86.5005.8001.800
コーン油232℃12.94827.57654.677
綿実油216℃25.90017.80051.900
オリーブ油190℃13.80872.96110.523
パーム油235℃49.30037.0009.300
ピーナッツオイル225℃16.90046.20032.000
ひまわり油(中オレイン種)266℃9.00957.33428.962
大豆油238℃15.65022.78357.740
ベニバナ油(高オレイン種)266℃7.54175.22112.820
米油232℃19.739.335
グレープシードオイル(フラックスシードオイル)216℃9.61669.9
アマニ油107℃8.97618.43867.849
ごま油177~232℃14.239.741.7
引用:wikipedia

補足

【オリーブオイルについて】
オリーブオイルの発煙点は176~190℃とされていますが、精製されたピュアオイルや良質なエクストラバージンオリーブオイルの発煙点は210℃です。
エクストラバージンオリーブオイルは生食用というイメージがあるかもしれませんが、加熱しても問題ありません。ただ、加熱することで香り、風味、栄養は減少してしまいます。

【ココナッツオイルについて】
未精製のココナッツオイルの発煙点は177℃ですが、精製されたココナッツオイルの発煙点は232℃です。発煙点の違いは不純物です。未精製のココナッツオイルは不純物を含んでおり、加熱により、煙を発生させる可能性があります。また、MCTオイルの発煙点は160℃と低いので、それ以上の加熱調理には向いていません。

高温調理の油を選ぶ時のポイント

気を付けておきたいのは発煙点の低い油、加熱に向かない油を
炒め物や揚げ物に使用しないことです。

発煙点の低い油を知っておく

アマニ油、えごま油は110℃程度と低く、加熱には向いていません。

多価不飽和脂肪酸が少ないもの

多価不飽和脂肪酸はn-3系とn-6系に分けられます。

n-3系(オメガ3)にはα-リノレン酸、DHA、EPA
n-6系(オメガ6)にはリノール酸、アラキドン酸、γ-リノレン酸

これらは加熱に弱く、酸化しやすいため、多価不飽和脂肪酸が多く含まれる油脂は加熱に向いていません。

高温調理に向いている油

高温調理に向いている油は、発煙点が高く、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸の高い油です。

キャノーラ油(菜種油)、オリーブオイル、パーム油、ピーナッツオイル、ひまわり油、べに花油(高オレイン種)、米油などは炒め物、揚げ物でも問題なく使えます。

ごま油は一部、発煙点が低いものがある、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸がバランスよく含まれる為、仕上げにさっと炒める程度にしておきましょう。

未精製ココナッツ油は発煙点が177℃と低めですが、飽和脂肪酸が豊富な為、酸化しにくいので中火程度の炒めものには良さそうです。
精製されたココナッツオイルは発煙点が高いので、高温調理でも大丈夫です。

調理に適した油の選択を

間違った油の使い方は健康リスクを高めます。

調理の内容に応じて、適切な油を選択しましょう。

未精製のオイルは、精製されたものより発煙点は低くなりますが、栄養価は豊富です。

生食、炒め物、揚げ物と、使い分けてあげることでより良いパフォーマンスを発揮します。

また、オイルは種類はもちろんですが、地域によっても風味が異なるので様々なオイルを試してみるのもおススメです。

あなたに合うオイルを見つけてみてください。

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