本記事では「砂糖の選び方」についてまとめていきます。
体に優しい砂糖とはなにか。多くの種類があるけど、それぞれどのような特徴があるのか
体に良い砂糖を知るにあたって、作り方と種類を比較してみました。
体に優しい砂糖の条件
- 含蜜糖(精製前のもの)
- 低GIのもの
砂糖とは
砂糖とは、ブドウ糖+果糖が結合してできた「ショ糖」と呼ばれるものです。
原料となるサトウキビなどの植物は、光合成により自らのエネルギーとなる糖質を生成します。
砂糖ができるまで(サトウキビ)
砂糖の原料として一番使われているのがサトウキビです。今回はサトウキビを例にご紹介します。
砂糖の作り方は主に2種類あり、原料糖と精製糖に分かれます。
原料糖の作り方
- サトウキビを細かく砕いて汁を絞る
- 石灰乳を加えて加熱し、汁の中の不純物を沈殿させる
- 上ずみを煮詰めて、結晶缶の中で結晶をつくる
- 遠心分離機にかけて結晶糖(原料糖)を取り出す
精製糖の作り方
- 原料糖の結晶表面の不純物を糖液で洗って取り除く
- 表面を洗った原料糖を温水に溶かす
- 石灰を加え、炭酸ガスを吹き込んで不純物を一緒に沈殿させる
- 沈殿物をろ過して、取り除く
- 活性炭などでもう一度、糖液中の残りの不純物を吸着させて取り除く
- 糖液を真空結晶缶の中で濃縮しながら、砂糖の結晶をつくる
- 遠心分離機で結晶(精製糖)と糖液に分ける
原料糖と精製糖の違い
精製前の原料糖(粗糖)は栄養価が高いということです。
鉄分、カリウム、カルシウムなどのミネラル、ビタミンB1、B2、B6などのビタミン群などの栄養を豊富に含み、体内吸収に時間がかかるため、血糖値の上昇もゆるやかです。
また素材本来のやさしい甘みが特徴です。
気になるポイントとしては、精製糖に比べ単価が高いということです。
精製糖は砂糖以外の成分を取り除いた純粋なショ糖です。
粗糖に比べ、甘みが強いですが、栄養はほとんど含みません。
ではなぜ精製するのか?
砂糖には料理あたえるさまざまな効果があります。
- お肉がやわらかくなる(親水性)
砂糖がたんぱく質と水分を結び付ける - 味落ちを防ぐ(酸化防止)
砂糖が水分を保持し、酸素が溶け込みにくい状態になる - 時間がたってもおいしい(デンプンの老化防止)
砂糖にはデンプンをしっとりやわかく保つ働きがある - 色と香り(メイラード反応)
焼くとアミノ酸(たんぱく質)と反応し、褐色色素と香気成分をつくる - カビや腐敗を防ぐ(防腐効果)
カビや細菌が繁殖するのに必要な水分を砂糖が吸収する
粗糖に比べ不純物のない精製糖は上記の効果が発揮されやすいので、料理に使いやすく、流通量も大きいのです。
しかし、精製糖にはいくつかデメリットがあります。
肥満、糖尿病、心臓病のリスクがあり、中毒性が高く、体内への吸収も早いということです。
メリットよりもデメリットのほうが大きいように感じます。
砂糖の製法による分類

砂糖は製法により、分蜜糖、含蜜糖の2種類に分かれます。
分蜜糖と含蜜糖
分蜜糖とは遠心分離機で砂糖の結晶と糖液(糖蜜)を分けて結晶だけを取り出した砂糖のことです。
上記で紹介した原料糖、精製糖も分蜜糖に分類されます。
含蜜糖とは原料から抽出した糖汁を煮固めたものです。分蜜糖に比べ、ミネラル分を豊富に含みます。
コクのある味わい、やさしい甘みが特徴です。
砂糖の原料による分類

- サトウキビ
砂糖の多くはサトウキビを原料としています。 - てんさい(ビート)
北海道で生産されるてんさい。含蜜糖はオリゴ糖を含んでいます。
- サトウカエデ
サトウカエデの樹液を濃縮してつくる天然甘味料メープルシロップなどに使われます。 - サトウヤシ
サトウヤシの樹液を濃縮してつくるヤシ糖(パームシュガー)に使われます。
砂糖の種類と特徴
砂糖は製法、原材料から多くの種類へと分類されています。
ではそれぞれの砂糖にどのような特徴があるのか見ていきましょう。
カロリー、糖質、用途を比較
分蜜糖 100gあたり
カロリー(kcal) | 糖質(g) | 味 | 用途 | |
---|---|---|---|---|
粗糖 | 380 | 97 | 素材の味。クセ苦みがなくまろやかな甘み | 飲料、お菓子、料理 |
グラニュー糖 | 387 | 100 | クセのないすっきりとした甘さ | 飲料、お菓子、料理 |
白ざら糖 | 387 | 99.3 | 上品な甘さ | 高級菓子、ゼリー |
中ざら糖 | 387 | 100 | まろやかでコクがある | 煮物、佃煮など |
上白糖 | 384 | 99.3 | ソフトでクセのない甘さ | 飲料、お菓子、料理 |
三温糖 | 382 | 98.7 | 甘みが強く、コクがある | 煮物、佃煮など |
角砂糖 | 387 | 100 | すっきりした甘さ、溶けにくい | 温かい飲み物 |
氷砂糖 | 387 | 100 | 上品な甘さ | 果実酒など |
液糖 | 276 | 75 | 低温下で甘みが増す、口に残らない甘さ | 清涼飲料、冷菓 |
含蜜糖 100gあたり
カロリー(kcal) | 糖質(g) | 味 | 用途 | |
---|---|---|---|---|
きび糖 | 356 | 98.8 | 濃厚でほどよいコクがある | 飲料、お菓子、料理 |
てんさい糖 | 382 | 88.6 | あっさりとクセのない甘さ | 飲料、お菓子、料理 |
黒糖 | 354 | 89.7 | 濃厚で独特なコクがある | 料理、郷土菓子 |
加工黒糖 | 383 | 95 | 黒糖独特のクセが控えめ | 飲料、お菓子、料理 |
赤糖 | 377 | 95 | まろやかなコクと後味が特徴的 | 煮物料理 |
和三盆 | 383 | 98.8 | 上品でまろやかな甘み | 和菓子、洋菓子 |
メープルシロップ | 257 | 66.3 | 甘さ控えめ | お菓子、料理 |
ヤシ糖 | 380 | 94.6 | まろやかな甘さ | 料理、お菓子 |
カロリー、糖質を比較するとメープルシロップがやや糖質が少ないことがわかります。
分蜜糖、含蜜糖ではそれほど差はなく、やはり基本的に糖質は高いものだと考えましょう。
ミネラルを比較 (mg/100gあたり)
黒糖 | きび糖 | てんさい糖 | 粗糖 | 上白糖 | |
ナトリウム | 27 | 20 | 48 | 28 | 1 |
カリウム | 1100 | 142 | 27 | 133 | 2 |
カルシウム | 240 | 23 | 微量 | 83 | 1 |
マグネシウム | 31 | 15 | 0 | 9 | 微量 |
リン | 31 | 1.1 | 1 | 4 | 微量 |
鉄 | 4.7 | 0.3 | 0.1 | 0.71 | 微量 |
亜鉛 | 0.5 | 0 | 微量 | 0.03 | 0 |
銅 | 0.24 | 0.1 | 微量 | 0.047 | 0.01 |
ミネラルを比較すると含蜜糖(特に黒糖)にはミネラル分が多く含まれているのがわかります。
しかし、WHO世界保健機関によると
成人の1日あたりの砂糖摂取量の目安は25g程度までとしています。
例としてカリウムで考えてみます。男性(18-29歳)が1日に必要とする量は2500mgです。
仮に黒糖(目安25g)から得られるカリウムの量は275mg。およそ10分の1程度です。
砂糖からミネラルを得るより野菜や果物をしっかり摂取することのほうが大事だと思います。
GI値を比較
基本的に砂糖はGI値65と中GI食品です。
低GI食品に含まれるのはメープルシロップやヤシ糖でした。特にヤシ糖はGI値35とかなり低いです。
低GI食品は糖尿病や心不全リスクを軽減させます。
※GI(グリセミック・インデックス(Glycemic Index))とは食後血糖値の上昇を示す指標です。
国内サイトだと100以上のGI値に設定されてるサイトもよく見かけますが、GIは1-100までのスケールでブドウ糖を100とした場合、炭水化物が食後血糖値を上昇させる程度に応じてランキングされたものです。当記事ではシドニー大学が提供するデータベースをもとにしています。
含蜜糖の低GIの砂糖を選びましょう
砂糖を選ぶポイントは含蜜糖・低GIです。
精製前の砂糖は血糖値の上昇はゆるやかで病気へのリスクを減らせます。
特にヤシ糖(ココナッツシュガーなど)は低GI食品でありながらも甘さが控えめ過ぎず、汎用性も高いのでおススメです。
その他、低GI食品の甘味料としてみりん、アガベシロップやはちみつなどがあります。
1日25gぐらいを目安にすることを忘れずに。
おすすめの砂糖
GI値35の優しい砂糖。
ココナッツシュガーは血糖値をゆすやかにし、精製前の砂糖でミネラルも豊富。
クセのない甘さで料理の普段使いにもお菓子作りにもおススメです。
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